仲良しな叔父と遊びつくした夏の日の思い出

仲良し,叔父

私は夏になると毎年、母の実家へ遊びに行っていました。
母の実家は千葉県南房総市にある、海の見える場所にあって、とても居心地がよかったのです。
優しく気丈な祖母に会えることも楽しみでしたが、なにより私は叔父に遊んでもらうのが大好きでした。

叔父は、誰よりも何よりも、楽しいことが大好きです。
レジャーなら、釣りにキャンプにスキー、海水浴やダイビング、サーフィンまで!
パソコンを手に入れた時は、一緒に大人向けのサイトを探したりすることもありました。

そんな叔父が「二人で一日だけバイクの旅をしよう」とだけ言うなり、当時中学生くらいの私にヘルメットをかぶせてバイクの後ろに乗せ、エンジンをかけたかと思えば颯爽と走り出しました。

流れていく景色。
よく晴れた夏の日に、潮風が強く吹いていて、真夏のはずなのにすごく涼しいのです。
そこかしこに鮮やかなオレンジやイエローの夏の花が咲いていて、
右を見れば海、左を見れば山、という自然の真っ只中をバイクで駆け抜けてきます。

途中、サーフィン用具店に立ち寄って、買い物をしている叔父と少し話をしました。
母の子供時代、母と自分は面白いことを言い合って競っていたけれど、どうしても母より面白いことが思い浮かばなくて悔しい思いをしたこと。
母と学業の成績を競うと、どの教科も母にかなわないけれど、自分のほうが手先が器用だった、だとか。
私に幼いころの母の話をここぞと聞かせてくれるのには理由があって、母は自分の思い出を振り返ることをすごく嫌がる人でした。
アルバムさえ取っておくのを嫌って、写真一つ残っていないのです。
そんな母の昔話を、本人に代わってこっそり聞かせてくれる立場にあったのも叔父でした。

バイクの旅は続きます。
地元の民芸品を置いているお店に立ち寄り、なんでも好きなものを買ってあげようと言うので、私はお店に並んでいたネックレスやブレスレット、指輪などが置いてあるコーナーをしばらく眺めて、蟹の形をした指輪と、イルカのネックレスとブレスレットがおそろいになっているものを買ってもらいました。叔父もまさか、未だに大切に取ってあるとは思っていないことでしょう。

食事などを済ませてそのあとも風まかせにバイクを走らせているうちに日は暮れて、家のすぐそばの海岸に戻ってきました。
遊びたい放題遊んで、この旅を終えてしまうのがすこし名残惜しい私たちは、浜辺で花火を楽しむ地元の人をぼうっと眺めながら、また来ようねと約束しあいました。

その約束は翌年きっちりと果たされ、今でも電話で長話をする仲です。

著者:こだまひろみ

性別:女性

年齢:29歳

陽気な頑張り屋さんです。