純文学のおすすめ小説28選&読書家500人が選んだランキング

文体の美しさや小説自体の芸術的感動を味わいたいときなど、いわゆる純文学を読みたいこともありますよね。

誰もが知る名作から隠れた名作など、読書家が実際に読んでおすすめできる純文学小説と口コミを知りたい方も多いはず!

この記事では、読書家500人が選ぶ純文学小説のおすすめ28選&人気ランキングを口コミと共にご紹介しています。

おすすめの純文学人気ランキング

おすすめの純文学ランキング

まずは、おすすめの純文学人気ランキングからご紹介していきましょう。

Bookey編集部が行った『読書家500人が選ぶおすすめの純文学』によると、1位は『人間失格(60票)』、2位は『豊饒の海シリーズ(46票)』、3位は『舞姫(44票)』という結果に!(アンケートの詳しい内容はこちら

それでは、おすすめの純文学を口コミ&レビューと共にご紹介していきましょう。

500人中/60人がおすすめ

【1位】人間失格

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 太宰 治
出版社 ‎集英社
発売日 ‎1990/11/20
価格 286円

人間の弱さを肯定してくれる一冊

1人の人間が壊れていくさまが丁寧に描かれています。

一見エリートに見える主人公の心を何が壊していったのか・・・。苦しさの中で女性や友人に救いを求め、決して救われない姿にとても考えさせられます。

それでいて、聖書のように普遍的な一面を持つ文章は、太宰治にしか書けない文章だと思いました。

人間の弱さを肯定してくれる一冊だと思います。

わさかけさん/40代/女性


多くの人が「自分の物語」と感じ、共感してしまう名作

裕福な家庭に生まれ、恵まれた容姿を持つ主人公・大庭葉蔵の手記という形で綴られる、太宰治の小説『人間失格』をおすすめします。

暗い内容で救いのない話ですが、人間社会に恐怖しながらも懸命に生きる主人公の行く末が気になって、どんどん読み進めてしまいます。

誰しも、自分を偽ったり人前で演じたりといった経験はあるのではないでしょうか。この作品は、不思議と読者に「自分のことが書かれている」と感じさせてくれます。

主人公に共感できるかどうか、ぜひ読んで確かめてみてほしいです。

with117さん/30代/女性

一人の人間の人生と心情がよくわかる

太宰治の人間失格は、有名な作品で映画になったり漫画になったりしました。

堕ちていく一人の人間の人生と心情がよくわかります。

笑えたり、心が温まったりする話ではありませんが、色々な人間と絡み合って物語が進んでいくのが面白いです。

特に、主人公が女と心中して自分だけ生き残ってからの人生が面白くて好きです。

ujun1222さん/20代/女性

500人中/46人がおすすめ

【2位】豊饒の海シリーズ

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 三島 由紀夫
出版社 ‎新潮社; 改版
発売日 ‎2002/10/1
価格 2,050円

仏教の理解に役立ち、唯識論入門に最適

三島由紀夫の遺作となった長編小説です。作者は『天人五衰(豊饒の海・第四巻)』を新潮社に収めてからクーデターを起こし、切腹します。なんとその49日後が彼の誕生日なのです。

小説では月修寺門跡(綾倉聡子)に「松枝清明など知らない、はじめからどこにもあらへんかった」などと言わせて輪廻転生を否定しておきながら、三島自身は輪廻転生を信じていた事になります。

基本的には仏教の輪廻転生に関する小説ですが、意外な結末には意表を突かれました。仏教の理解に役立ち、唯識論入門には最適だと思います。

4部作全部が三島の集大成と言えます。特に、第2巻『奔馬』は三島の死生感が強く出ています。

Deep_Purpleさん/50代/男性


自分の気持ちに素直に従う事の大切さについて教えてくれる名作!

三島由紀夫の「春の雪」は、上流階級のきらびやかな世界と、閉塞感のある人間関係を鮮やかに描き出した珠玉の純文学作品です。

実際の出来事をベースにしたと言われており、随所にそのリアリティがあって実際にその場にいるような感覚になります。

自分の気持ちと愛する人を大切にしなければいけない、と気づかせてくれる作品で、人生に迷ったときにおすすめです!

xiashi0608さん/20代/女性

500人中/44人がおすすめ

【3位】舞姫

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 森 鴎外
出版社 ‎集英社
発売日 ‎1991/3/20
価格 345円

文語体のリズムが気持ちいい作品

森鴎外自身が主人公のモデルと言われています。

留学先のドイツで出会った美少女・エリスと恋仲になった主人公ですが、国際恋愛に理解のない時代だったこともあり、友人からの忠告を受けて、身重のエリスを残し帰国することを決めます。しかしエリスに言い出せないまま、出発の日が迫り・・・。

なんとも哀れな話で、女性からすると主人公はとんでもない人ということになると思います。しかし、最後の締めくくり方に、少しだけ救われる気がするはずです。

文語体で書かれているため、少々読むのが大変かもしれませんが、慣れてくると文章のリズムが心地よくなります。

のぎく06さん/50代/女性


愛だけでは生きられない世知辛さに胸が苦しくなる一冊

森鴎外のラブストーリーです。

主人公はドイツに留学中、踊り子のエリスと恋人になりますが、一緒に留学した親友から「お前はそれでいいのか」と諭され、恋と仕事のどちらかを選ばなければならない葛藤に陥ります。

この作品は、青春時代に読むとヒロインに同情してしまう要素が強いのですが、社会人になると親友の主張にも頷けます。

優柔不断な主人公に喝を入れたくなるシーンもありますが、当時のドイツの風景を思い浮かべて読んでみると、心に沁みるシーンが多々あり、しっとりとした恋愛小説が好きな人にぜひおすすめです。

あさり子さん/20代/女性

500人中/44人がおすすめ

【4位】坊っちゃん

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 夏目 漱石
出版社 ‎集英社
発売日 ‎1991/2/20
価格 286円

破天荒な坊っちゃんに延々笑わされる

私のおすすめの純文学小説は、夏目漱石の「坊っちゃん」です。

この話は、破天荒な性格の主人公・坊っちゃんが教師として赴任した先で起こるドタバタコメディです。

地方故に文化の違う学生たちにからかわれたり、他の教員に特徴的なあだ名をつけたりと、抱腹絶倒なストーリーです。

最後の最後に坊っちゃんが取る「ある行動」もとても面白いので、ぜひ読んでいただきたいです!

yuseさん/20代/女性

500人中/31人がおすすめ

【5位】火花

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 又吉 直樹
出版社 ‎文藝春秋
発売日 ‎2015/3/11
価格 1,200円

売れるのも当然だと思わせる面白さがあり、読者を魅了する

芸人の又吉直樹さんが芥川賞をとった力作です。本来、エンタメ小説なのですが、強烈な純文学臭がするというのが大きな特徴ではないかと思います。故に、今の時代の「売れる純文学」の最たるものだと思います。

そして、売れるのも当然だと思わせる面白さがあり、私はすぐさまのめりこんで一気読みしていました。

またこの作品の特徴として、関西弁を主にした純文学と言う新しい試みがなされているという所も興味深く、読者を魅了すると思います。

kazu198さん/50代/男性

500人中/29人がおすすめ

【6位】こころ

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 夏目 漱石
出版社 ‎新潮社; 改版
発売日 ‎2004/3/1
価格 407円

珍しい構成や登場人物たちの心情に惹きつけられ、何回読んでも飽きない名作

初めて読んだのは中学生の頃でした。

当時はこの本の内容がぼんやりと理解できた程度で、考察などはできませんでしたが、何年か経って再び読んだら、Kがなぜ死んだのかなど、自分で考えられるようになっており、非常に面白い作品だと思いました。

先生の遺書という形式で少しずつ明かされていく過去や、登場人物の名前が滅多に出て来ないところなどが、珍しくて面白い作品です。

ujun1222さん/20代/女性

500人中/28人がおすすめ

【7位】山月記

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 中島 敦
出版社 ‎青空文庫POD
発売日 ‎2017/1/14
価格 440円

「自意識」や「理性」、「人生とは」というテーマに向き合える

高校の教科書で出会った作品です。短編だけど読み応えのある重厚な文章に興味を持ちました。

李徴の心理描写やタイトルの伏線回収など、高校生の頃よりは深読みできそうです。

当時より大人になった分、「自意識」や「理性」、「人生とは」というテーマに向き合えるのではないかと思います。

もう一度じっくり読みたい一冊です。

anonymrecluseさん/50代/女性

500人中/25人がおすすめ

【8位】羅生門

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 芥川 龍之介
出版社 ‎青空文庫POD
発売日 ‎2017/1/14
価格 440円

緊張感や絶望感がリアルに伝わってきて、人間の善と悪について考えさせられる一冊

正義を振りかざしていたような人でも、追いつめられると悪に走ってしまうという、人間の虚しさが描かれています。

芥川龍之介によって描写される臨場感が圧巻です。緊張感や絶望感がリアルに伝わってきます。

決して強くない人間の姿を肯定も否定もせず淡々と描いており、現代にも通じる話だと思います。

わさかけさん/40代/女性

500人中/19人がおすすめ

【9位】密やかな結晶

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 小川 洋子
出版社 ‎講談社; 新装版
発売日 ‎2020/12/15
価格 902円

自分らしい生き方を考えさせてくれる物語

大切なものの記憶が、ある日突然、静かに消えてしまいます。特定の人の記憶の中から消えるのではなく、その島に住むすべての人たちの記憶から消えてしまいます。

島の人たちの生活は静かですが、記憶を隠し持っている者がいないか、秘密警察に監視されて過ごしています。

このような設定だけに着目すると、閉塞感を感じて本を閉じたくなりそうですが、そんなことはありません。一つのものの記憶をなくすと、それと繋がる「まだ記憶にあるもの」の本質が理解できなくなるという耐え難い消失感や焦燥感を、どうやって島の人たちが乗り越えているのか、主人公の「わたし」はどうやってこの消失に抗うのか、どきどきしながら読みたくなります。

自分の心の形に特化した価値観や、自分の物差しで余白を切り落とした記憶など、個人的な記憶を大切にすることも必要だと思います。自分らしい生き方を考えさせてくれる物語です。

ncmsk523さん/50代/男性

500人中/12人がおすすめ

【10位】檸檬

  • 読みやすさ :
  • 文体の美しさ:
  • 芸術的感動 :
著者 梶井 基次郎
出版社 ‎新潮社; 改版
発売日 ‎2003/10/1
価格 473円

生活の中で繰り広げられる想像の世界に思わず入り込んでしまう

生活の中で繰り広げられる想像の世界に思わず入り込んでしまうような作品です!

作品全体の描写が美しく色鮮やかで、主人公は憂鬱な何とも言えぬ心情のはずなのに、見える街やものが明るく描かれているのが印象的です。

文章も詩的で、「言葉で作られた芸術」のようです。

主人公の奇妙な行動と対比する美しい描写を是非、感じてみてはいかがでしょうか。

朱 那さん/20代/女性